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<「女性力」の現実・政治と行政の今>3/家事や育児1人では限界/負担大、家族の理解大事

 息子と過ごす時間は1日1時間半。朝食を食べ、車で幼稚園に送り届けるまでの30分と、1日の出来事を話したり、寝る前に大好きな絵本「ぐりとぐらシリーズ」を読み聞かせたりして過ごす1時間だ。1ページずつ交代で読むこともあり「こんなに読めるようになった」と成長を実感する。息子といると元気が出る。

 昨年6月の県議選で初当選した喜友名智子氏(44)は議員活動をしながら実家の協力を得て、ひとり親として5歳の息子を育てている。

 社会に出て、自身が女性の進出を阻む「壁」に直面することはなかったと言う。一方、周りで「壁」の存在に阻まれる女性たちを見てきた。本来なら仕事・家事・育児をこなさないといけない状況で、ひとり親として政治活動を続けられるのは、「何かあれば任せられる家族がいるからだ」と感じている。

 選挙運動期間は1日を通して街宣活動やインターネットで動画配信を続け、家にいる時間はほとんどなかった。昨年は選挙事務所の旗開き以降、平日の育児や家事は両親が協力した。

 息子の預け先がない時は、幼稚園から息子を迎えて自家用車で街宣活動することもあった。「ドライブをしていると思えば楽しかった」とほほえむ。有権者は自然に受け止めていると感じた。

 当選後も集会や後援会に息子を連れて行く。母の横で絵を描いたり、話を聞いたりしているという。「政治の場だから子どもが駄目ではなく、周りに相談した上で政治の場だけど連れて来たというのもいいと思う」と話した。

 議員になる直前まで10年間勤めたIT関連企業では、社員の9割近くが女性だった。残業が増えて家事や育児ができなくなるからと、昇進や正社員になることを断る女性が多かった。子どもができないことが理由で離婚した社員もいた。同僚と家庭の話をすると、「家事や育児は女性がやって当たり前」と考える夫が多く存在することに驚いた。「女性の負担が大きい」と痛感した。同時に、自身は「女性も稼いで当然」と考える家族の理解があるから「仕事ありきで子育てができる」と感じた。

 議員として活動する中で、女性議員が少ないと感じる。仲間を増やしたいと、10人ほどの女性に声を掛けたが、子育てや家族の反対などを理由に全員に断られた。

 自身の選挙活動費は政党の援助だけでは足りず、留学したいとためた貯金を充てた。議員は批判を受けるのが当然で精神的負担も大きい。「女性が力を付け、自ら手を挙げるのを待っているのは、女性に求め過ぎている」。女性を政治の場に出す必要性を訴え、支援体制を強化すると共に、クオータ制を導入して女性を増やしていくことが必要だと指摘する。

 東京で大学に通っていた1998年、県知事選があった。自民党は基地問題で政府との関係を悪化させ、振興策を止めたと「県政不況」というキャッチフレーズを打ち出し、稲嶺恵一氏が大田昌秀氏を破ったことは衝撃的だった。「『県政不況』の一言で、基地反対を訴えていた県政が吹き飛んでしまった。経済的に自立していないと惨めだ」

 その思いは、自身と同じ立場にあるひとり親の支援や、大学時代から興味のある自立経済の実現に対する思いに通じている。

 「女性は男性よりも賃金が低く、非正規も多い。1人で育児・家事・家計を背負うのは限界がある」。1人の収入で子どもを育てられるような政策を打ち出し、貧困問題の根本的な解決につなげたいと考えている。

2021/01/15 琉球新報朝刊 2ページ 1578文字

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