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<社説>大学生内定率急落/就職氷河期の再来回避を

 2021年3月卒業予定で就職を希望する大学生の10月1日時点の内定率が、前年同期比7・0ポイント減の69・8%に落ち込んでいる。学生優位と言われた前年までの売り手市場が一変し、リーマン・ショック後の09年の7・4ポイントに次ぐ下落幅だ。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済の低迷で企業が採用を狭め、学生があおりを受けている。就職活動のつまずきはその後の人生設計を大きく左右するだけに、放置できない問題だ。バブル経済崩壊後の「就職氷河期」の再来を回避するため、雇用の確保と創出にあらゆる手段を講じなければならない。

 県内では琉球新報が8月に県内売上高上位企業など105社を対象に実施したアンケートで、回答90社のうち5社が採用を中止し、25社が採用を減らすと答えている。

 大学でも一時期コロナ対策で構内閉鎖となり、現在も一部でリモート授業が続いている状況がある。就職活動に臨む学生が十分な情報や支援を得られず、孤立してしまうことがないか気掛かりだ。

 来春に卒業を予定する4年生だけではない。22年3月卒業予定の現在の3年生も、コロナの感染予防で企業がインターンシップの受け入れを見合わせるといった影響が出ており、企業と接点を持つことの難しさや先行きの不透明さに焦りが見られるという。

 1990年代半ばから約10年間、就職難の時代に社会に出た人たちは就職氷河期世代と呼ばれている。卒業時に正社員になる機会を失い、長期にわたり非正規雇用で働き続ける人が少なくない。

 その世代が社会の中心を担う40代を迎えている。不安定な雇用や低所得をそのままにすれば、人口減少や消費の不振、税収減、将来の社会保障費の増加などを引き起こし、経済発展を阻害する要因となることが指摘される。

 卒業時に就職機会を逸したことは個人に責任を負わせる問題ではなく、社会的、時代的な問題だ。氷河期世代をいかに救済するかは、現在まで尾を引く深刻な社会・政治課題となっている。

 今回のコロナ禍による経済危機も現状では回復の時期が見通せず、採用縮小が長期化する恐れが否定できない。再び氷河期を招かないため早期に対策を打つことが重要だ。

 政府は、大学生らの卒業から3年以内は新卒扱いで採用するよう経済団体に求めている。企業側は要請を受け止め、採用活動の継続や柔軟な対応を取り入れてもらいたい。コロナ禍でも採用意欲の高い業種はあり、そうした雇用の発掘、学生とのマッチング支援の強化も欠かせない。

 再生可能エネルギーなどの新分野に公共投資を促進することで雇用を拡大し、コロナで傷ついた経済を立て直す成長戦略が世界で議論されている。新たな雇用を生み出す新産業の育成に、日本も本腰を入れることが必要だ。

2020/11/20 琉球新報朝刊 8ページ 1126文字

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